寒嬢
@samujoh

こころが病むと「もののけ」になると、
昔の人は書いていた。

最近源氏物語を読んでいて、六条御息所さんが好きになりました。

六条御息所は光源氏の愛人ポジションだったけど、7つ上もだったこともあり、彼からの寵愛を受けられなくなってしまう。

夜な夜な、心がすさんでいくのを感じる。

愛されているのは年下の女ばかりで、憎くて、でもしかたなくて、でも辛い。

そんなことで頭がいっぱいになってしまったとき、身体から、どこかで嗅いだことのある匂い。

芥子のお香。悪霊を祓う儀式で使われるものだ。

源氏が懸命に、愛する女から悪霊を祓おうと、ふんだんに焚いた芥子の香りが、自分から。

その悪霊が、まさか自分かもしれない。
そう気づいた、寝起きのぼやけた頭は事の重大さを理解した。


夜な夜な、憎い憎い憎い憎いと思う。
どうしてどうして助けて欲しいのになぜ私が。
もののけに。


辛い気持ちが満ちて夜が怖くなってしまう時間に、口から魂が出て行ってしまった彼女。

憎さ辛さは抑え込もうとしたけど、溢れ出た彼女は、この物語で一番人間らしいと思って、好きになりました。


あなたもわたしも、夜はもののけになっているかもしれないけど、それも含めて愛すべきかな、好きですよ。

2024/1/29/23:53